23年度 国交省補助事業 出前相談レポート

弊法人は。23年度の国土交通省補助事業において、補助採択され以下の事業を推進しました。①個別マンションの継続支援(再生の方向性の検討) ②出前相談(全国の再生を検討を考える個別のマンションに出向き、2~3回の個別相談を実施する。

このページは、23年度の②の事業・出前相談を実施したものから、相談のいくつかの概要を報告します。

訪問マンションと概要(抜粋)

10月30日:福島県郡山市Kマンション(議事録抜粋)

○現状におけるマンションデベロッパー等の動き

今回の出前相談を受けて、東北地方での展開実績のある2~3のデベロッパーに確認をした。「震災の影響による東北経済の低迷」ということで環境は厳しくなっている。

○今後もし建替えを進めるとしたらどのように進めるべきか?の協議要旨

a.周辺のマンション市況を考えると、不動産分譲会社も販売可能戸数は30~40戸程度と考えられるため、むしろ、大通り沿いのマンションのみを建替える。再取得希望者はその再建マンションに移る。残りは、例えば一戸建て分譲住宅用にハウスメーカー等に売却する手法は考えられる。再取得者以外は、売却し転出する。

○    資金の積み立て

a.当面は、例えば「10年後に建替えをする」等の目的を定めて、修繕積立金の積み増しや、場合によっては建替え積立金の制度等を作ることの検討も必要かもしれない。

○今後の○○マンションの留意点

○ マンション居住性の維持の必要性

a.老朽化が進み、居住性が悪くなると居住者が大幅に減少する可能性が高く、この場合には結果的に資産価値そのものが低下してくる。

b.そうした意味では、最低限の維持修繕は行う必要があるし、この意味でも修繕積立金の加算等の検討を行なうことをお勧めする。

c.居住区分所有者が減少するようなマンションはまたより劣化も早くなる。あるマンションでは、外壁に「頭上注意」という張り紙がされているケースがある。そうした状況までマンションを放置してはスラム化となりいけない。

○そもそも「建替えありき」でよいのか?

理事の中から、「建替えの方向で決まるのであれば敢えて反対はしないが、

別に今建替えなくてもよいのではないかとの自問自答もある」「自分も、

大勢には反対はしないが、必ずしも早期建替えでなくとも良いと思って

いる。」という意見が述べられた。

大地震の被害の予想ということが、この数年の○○マンションの建替え推進のテーマだった。今回の地震で建物に被害は出ていないため、敢えて「早い時期の建替えに拘らない」という選択肢も考えられる。

この場合でも、居住性を保つ・資産価値を維持する立場から適切な維持

管理の重要性は増してくる。きちっとした修繕・維持管理が必要だ。

また、絶対的な建物の耐用年数は存在する。しっかりした建物診断

(建物の現状がどうなっているかの調査)を実施することも検討する必

要がある。建物の耐用年数を60年と考えた場合には、二十数年後には建替えが必

要な時期が到来することとなる。そうなると、20年先を見据えて、建替え検討積立金等を行なうべきである。組合として内部留保がたまっていれば、必要な場合に問題の対応は行ないやすくなる。

12月3日:代々木上原Sマンション(第2回)

12月4日:耐震化セミナー講演

12月10日:名古屋Jマンション(第2回)

12月26日:京都府某大規模団地

1月14日:名古屋Jマンション(第3回)

1月14日:千葉県U市マンション

1月17日:首都圏郊外大規模団地(第1回)(議事録抜粋)

Q・修繕はあまり想定していない。建替えを進めたいと考えている。

A・約300名の所有者が存在すれば、高齢者も中心に修繕でも良いと考える所有者が一定の比率で存在する。修繕か建替えかの比較検討を進めて、その上で管理組合全体として、再生の方向性を建替えと決める手順が必要だ。建替えがどんどん進行した後に、「なぜ修繕改修の検討をしないのだ!」と主張されると、振り出しに戻ってしまう。

Q・今後の進め方や進み方は?

A・総会が近いなら、総会議案に「再生の方向性を検討」および「再生かかる費用」を提案し総会承認することだろう。その上で、修繕か建替えの比較検討する勉強会を半年程度かけて、全区分所有者を対象に周知していくのだろう。そのためには、5棟をそれぞれ別のマンションと考えて、比較検討を進める方法が、できるだけ多くの区分所有者を集め再生情報を周知するのに適切だ。たとえば修繕に関する説明会を5棟で5回実施することだ。

そのうえで、各説明会の後に、修繕なら修繕への思いや懸念や疑問点を、各人に話してもらう自由意見交換会を実施し、できるだけ多くの意見を集める。ここで重要なことは、議論をしないことだ。全員が自分の思いや意見を述べる。他の方はそれに反論しないで良く聞くことだ。区分所有者総数の半数約130名が集まれば、約300の意見が集まるものだ。そうすれば、全体の意見・不安・懸念・期待等がどこにあるか自ずとわかるものだ。

Q・現在、修繕委員会と建替え委員会がありそれぞれに、検討を進めている。どうだろうか?

A・再生の方向性の検討のためには、修繕と建替えを平等に比較検討していくスタンスが必要だ。そのスタンスに立った上で、分科会として両委員会があるのであれば差支えはない。

Q・講演会の進め方

A・今後、全区分所有者を対象に、さまざまな説明会を進める必要がある。案内チラシの配布。当日の呼び掛け等を実施し、全員対象であると周知してほしい。

1月29日:首都圏郊外大規模団地(第2回)

講演・座談会の要旨

3再生検討の留意点に関するパワーポイントを約45分説明する。

内容

・再生検討の必要性

・マンション再生の流れ

・初期段階の再生推進カリキュラム案

・再生検討事例

・検討手法としてのワークショップのメリット

・     再生検討費用の概算・建替え費用負担のイメージ

容積率は200%であり、現状は100%程度しか消化していないため、建替えれば

現状の2倍程度は専有面積が増加する。絶対高さ制限があり、しかし既存建物の建替えの場合の現状までの高さの緩和措置という課題があるが、余剰容積を分譲しての建替え費用の負担軽減が可能である。

・国土交通省の補助事業について

質疑応答

Q・高さ制限があるが、容積率は200%となるのか?

A・弊法人の建築系スタッフの見解では、敷地の広さもあるので、再建すれば容積率200%程度を確保することは十分可能であるとの見解だ。高さ規制の関係上23mの絶対高さ規制があるが、既存建築物の建替えの場合は緩和措置があるようだ。検証する必要があるが、万が一高さ規制が適用されても、建物間の密度を増すことで(一部日照が良くない住戸の発生が懸念されるが)200%は消化できるとの見通しだ。200%が可能であれば、現状建物規模の2倍から2・5倍の規模となり、40~45㎡程度は無償取得することが可能で、非常に恵まれた建替えとなるだろう。現状の住戸面積を確保するためには、若干の自己負担は必要だが。

Q耐震性能 倒壊しないか?IS値が0・3以下もあるが。

(省略)

Q・景気状況と建替えの時期

現状では建替えはあまり経済的環境が良くないのではないか?

A・もし建替えるとしても、時間がかかる。修繕改修か建替えかの比較検討を進める必要がある。これに約1年を要する。再生の方向性が建替えとなったとして、デベロッパーを選定して、建替え決議が成立するために約1年を要する。その後、円滑化法手続きを進めて着工が可能となるために約1年必要だ。約3年後の着工時点での建築工事費やマンション市場価格がどれほどかという問題になる。震災のマンションへ及ぼす影響も現在とは異なるだろう。基本的には、再生の検討を今から始めて、合意形成を進めてタイミングを待つことが適切ではないか。

2月11日:名古屋Jマンション(第4回)

2月12日:三鷹市Sマンション

2月12日:横浜市住宅供給公社の分譲団地対象

2月18日:武蔵小杉Nマンション(議事録抜粋)

○ 日時   :2012年2月18日(日)  午後2時~午後4時

○ 場所   :武蔵小杉Aマンション集会室

○ 参加者 :区分所有者 中・長期修繕委員会 11名

・修繕経緯を伺う限り、予防修繕的に修繕が行われている建物で、メンテナンスをされている。但し、給排水設備の現況及び今後の維持のしかたの検討は必要。ライニング工事は更正工事とよばれ、延命の工事で寿命を延ばすための工事。内視鏡などを用いた調査を一度実施して、検証した方が良い。   給水・排水のライニングは、取替え(更新)と比較する必要がある。見えない部分なので取替えのほうが確実である。

・自主管理であるのに、修繕等は適切に行われている印象を持った。

・委員会メンバーも数年前とほとんど変更しておらず、再生に関する情報が蓄積しており共有化されていると感じた。

○耐震診断について

4~5年前に実施している。2棟の建物で構成され、ランクBで、地震被害も少なく、問題は少ないのではないかという印象を持っている。

耐震診断の結果は、あまりよく把握していないが、ランクBである。

各階のIS値を確認すると、0.3~0.6の基準到達していないフロアを評価Bとしている。評価Bは、IS値0.3に近いものもあるので、Bランクだから安全という評価にはならない。

雁行している形状で、重心が各フロアによってずれることにより、評価が下がっていると予測される。 補強については、免震、ブレス、壁へのスリット等、柱への炭素繊維を巻く、鉄板を巻く等の方法がある。建替えないのであればどの方法が良いか設計する必要がある。

建替えの可能性

民間分譲マンションは、建設当初から容積率一杯に建てている。当該マンションも建設当初の200%ぎりぎりで建設されていると想像され、現状も200%である。昭和50年代からの日影規制等によりさらに規制が強化されている懸念がある。建替えをするとしたら、どれほどの建物規模となるかを検証しておく必要がある。

当該マンションの将来の建替え方針は、現状の建物規模程度が建築可能であることを前提にしている。場合によっては、現状すらも再建できない可能性もある。その場合には建替えが現実的に不可能となる可能性もある。

 

2月19日:代々木上原Sマンション(第3回)

○ 日時   :2012年2月19日(日)  AM10時~13時

○ 場所   :明治公園アパート建築現場  (現場見学会)

○ 参加者 :区分所有者 8名

NPOマンション再生なび  2名( 関根 建替えサポート 牧ノ瀬 )

明治公園アパート 地権者 木村 淳 氏

*     小規模マンションの建替えの工事現場を見学し、その後に建替え事業を実際に経験した区分所有者の生の声を聞く座談会を実施した。

●現場見学会

明治公園アパート、昭和31年建築で焼く50年を経過していた1棟12戸のマンションだった。紆余曲折の後に再建し総16戸のマンションとして、今春に竣工する。

ほぼ完成まじかの現場を、事業推進したデベロッパーの案内で見学した。

1時間の現場見学後に、四谷駅前の瑕疵会議室に席を移して、明治公園アパートの木村氏から、建替えに至るまでの経緯やクリアーした課題などについて約1時間の講演があり質疑応答の座談会が行われた。

●木村氏 講演内容

1)明治公園アパートの建物の歴史・沿革   省略

2)大規模修繕・平成2年(1990)・築33年目にかなり大規模な修繕を行った。

・修繕項目

外装塗装・屋上防水・上下水道管・電気容量と配線変更・ビル分電盤・受水槽整備・郵便受け整備、玄関ドア交換・窓サッシ交換・外装フェンス整備・ゴミと自転車置場整備 など

・費用 約1000万円/戸 (全体で1億3千万円)修繕積み立て金など無く、一括支払。

・一部の区分所有者からは建て替えの希望が出たが、修繕に至った理由は、

①住人の殆どがFirst Generationであった。

つまり住人がある程度の年齢に達しており、建物に対する要求内容や、資金力などに於いて建て替えするほどの必然性がなく、上述のような 『修繕』 で十分との判断があった。

②阪神淡路大震災以前であった為、新耐震基準(昭和56)に対する知識や防災の意識が薄かった。

③事前に行った耐震診断で、コンクリートの強度はまだ十分にあると判定された。

その後の建て替え取り壊し時に、鉄筋の量や質に問題があった事が判明。耐震診断の限界を感じる。

3)修繕からしばらく

・1995年1月17日、阪神・淡路大震災。

・これを転機に、建て替えが必要・・・と個人的に考え始めた

・2000年頃、そもそもの建築施工会社であり修繕工事も行った竹中工務店に、建て替え事業への援助を要請するも

規模が小さすぎる、との理由から相手にされず。

・    他の建築会社にも建て替え事業参入の依頼を行うも、請負方式ならばとの返答。

(安藤建設・熊谷組 他)

・また、一連の建築会社と建て替え相談をするなかで判明した事は昭和40年代後半に施行された北側建物等の日照を確保する目的の、『北側斜線規制』『日影規制』に当該土地は抵触し、現行規模の建物の再築は無理だろう、との事であった。

4)ターニングポイント

・2007年1月頃、ある建築会社より NPOマンション再生なび を紹介される。

区分所有法、マンション建て替え円滑化法などの法律面から、建て替えについてアドバイスを頂く事ができた。

素人集団の住民より出てくる色々な質問に的確な答えを得られる事で、全体の理解が非常に深まった。・少し前からスタートした管理組合の理事会メンバー内では『建て替え』を念頭において議論をする機運となってきた。

その理由は、

①耐震再診断による、危険性の指摘。

②その指摘を回避するために必要な耐震修繕にかなりの費用がかかる。

③平成2年に修繕を行ったにも拘らず雨漏りがある等、現状維持にも費用がかかる。

④耐震修繕を行ったとしても経時劣化の修繕費用が継続発生し、②③④の費用計が建て替え金額とほぼ同等との予測。

⑤売却転出を考えた場合、修繕する・しないに拘らず築25年以上の建物で、住宅金融公庫の『リ・ユースマンション適合条件』に合致せず購入希望者が融資を受けのは限りなく困難。 したがって売買するのも、かなり難しい。

⑥再度、大規模修繕を行ってもエレベーターやバリアフリー、防犯と云った時代の要請から遅れた状態に変化がない。

⑦区分所有法、建て替え円滑化法などの法整備がされ、社会全体で建て替えに対する『理解と土俵』が整ってきた。

⑧所有者が Second Generation に移行してきた。

2007年に勉強会を15回  2008年に勉強会を11回 2009年に勉強会を13回、その他会合7回

4月、国交省から『マンション等安心居住推進事業』の補助金応募要領が発表される。

・リーマンショック以来、半年を経過しても取り組みデベは表れず請負方式の『自主建て替え』の覚悟を決める状況に。

・コーポラティブ方法による建て替えの検証。コンサル料金が驚くほど高額で、小規模で人数が少ない我々には負担が大き過ぎる。

・9月頃から、建て替え事業に前向きな会社が現れる。

その理由は、

①都内の新築マンション販売が回復傾向となった。

②リフォーム市場の拡大とともに、都内の老朽マンションがいよいよ建て替え時期に入り、各社ともその実績作りに注力しはじめた。

・12月には3社より建て替え事業への参入申し込みがあった。

P社 等価交換方式 売却人数変動による責任分担が不変・余剰住宅責任なし・高級仕様
A社 請負方式 組合法人化・売却人数変動での負担増・余剰住宅の販売責任
D社 請負方式

・2010年2月には取り組み企業を決定し、5月の建て替え決議を目標とする旨が決まる。

8)2010年に勉強会を13回、その他会合を6回

・2月6日にP社を理事会で選定。

P社を選定した理由は

①他社の提案と比較して事業推進リスクが少なく、安全に建て替えが実現する。

②建築費用について等価交換契約時に確定し、以降の建築費増加リスクについては、P社が負担するので安心。

④P社が建築中のマンション現場を見学したが、分譲マンションの品質でありデザインや仕様がまずまずと判断できた。

⑤分譲マンションなので実需の購入者に販売するため、賃貸用のマンションになる懸念がなく再建後のコミュニティー

・3月31日 建て替え決議召集通知を全区分所有者に発送

・6月14日 総会で建て替え決議成立 (全区分所有者の4/5以上の賛成が必要)

・明治公園APTでは、健康上や地理的理由で勉強会や決議集会に参加出来なく、誤認の為に反対された方を個別

9)2011年

・1月11日 明治公園APT解体開始

・3月26日 地鎮祭

2012年3月末 竣工予定。

1995年の阪神・淡路大震災を期に私的な活動を開始し、2000年頃からの本格的な動きを経て、粒粒辛苦の末に

全員参加の建て替え実施となりました。振り返ると12年の歳月と、60回を超える会合です。建て替えにはそれぞれ

固有の 『問題・目的・方法』 が有ると思います。 皆様方に我々の経験が少しでも参考になれば幸いです。

●木村氏との座談会(質疑応答)

Q:竹中工務店に相談したとのことだったが?

A:規模が小さくてできないとお言われた。竹中さんからいろいろご紹介いただけたが全員がお金を出せば、ゼネコンさんがやってくれると思うが、それは難しかった。

Q:12戸中何件地権者で住んでいたのか?

A:自ら居住は6戸だが、ほとんどの所有者が外住でも以前からの所有者だからコミュニティはあった。ほとんどの人が話ができた。

Q:なぜ建替えになったのか?

修繕してもまたお金がかかる、修繕しても我慢しなくてはならないことばかり。

耐震にもお金がかかるし、どうせお金をかけるならとのことで天秤にかけた。

A:H2年にかなり修繕にお金をかけているが、2007年にも大規模修繕をしている。

屋上の防水や鉄部の塗装耐震補強もした結局は修繕だけでは済まなかった。

A:12戸が18戸の建替えなら、自己資金がかかると思わなければいけない。

A:建替えは 家族構成等によって部屋の広さや内容が選べる。普通にマンションを買うよりは恵まれる場合が多い。

Q:建替えに向っていたときの理事会の体制は?

A:建替えの話になってからは 何年も同じ人が理事になった。(通常は1~2年で交代だが)

出前相談実施マンション

10月16日:名古屋・Hマンション(第1回)

10月20日:代々木上原Sマンション(第1回)

11月 8日:渋谷区Aマンション

11月19日:名古屋Hマンション(第2回)

11月19日:名古屋Jマンション(第1回)

12月3日:小金井市Kマンション

2月26日:千葉県Gマンション


 

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