
修繕か建替えかの検討をどのような組織でどのように?
マンションであれば、名称は様々であっても管理組合にあたるものがあります。
この管理組合が、修繕などを担当しているうちに、築30年も経つと個別の修繕では対応しきれない案件が出てくることがあります。そのような中から、大規模修繕または建替えという声も出始めるようになります。
このような経緯で大規模修繕や建替え問題が登場してくるのですから、これを検討する機関は管理組合であり、その時の役員が中心となるのが自然でしょう。ところが、ここに一つの問題があります。管理組合の役員は、任期が1年で交代するとか、任期2年で半数交代とか、マンション毎にルールがあり、その任期はそう長くはないということです。
大規模修繕や建替えを考えると、いずれの選択をするにしても1~2年の期間で収まることは、ほとんどありません。
ここで交代を1年とか2年で行っていると、役員になった方は任期の半分くらいの期間でこれまでの経過などを学び、そこから初めて次のステップを踏み出していく、ということになりがちです(ただし、戸数の少ないところでは、それまでの議論の周知が容易で、新役員もすぐに本格的に取り組めることもあり得ます)。
大規模修繕か建替えかの方針を定め、決まった方針に沿って実施していくという長期にわたることについては、役員の短期交代による停滞を避ける方法として次のような案も考えられます。
管理組合理事会のもとに、例えば建物委員会などの委員会をつくり、この委員は続けることを原則とし(交代は一部にとどめる)、総会で委員承認を受けて、大規模修繕か建替えかの諸条件を検討し、原案を管理組合に提示する進め方です。
こうすれば、建物の課題は何か、A案だといくらかかるのか、B案だとどのくらいの期間仮住いなのか、などということをよく承知した上で、案の作成ができることになります。もちろん、建物委員会の案は管理組合の役員の審議を経て総会に提出され総会で決定されます。
このように、検討する組織は大きく分ければ2つあり、管理組合理事会があたる場合と、管理組合理事会下の専門委員会があたる場合です。
後者の場合は管理組合役員と専門委員の意見交換は緊密に行う必要があります。
なお、この大規模修繕か建替えかの検討をするときにコンサルタントを依頼すると、課題の所在がはっきりし、それに対応する方策の例示もして頂けるのでコンサルタントを置くことも検討する価値があります。