耐震補強工事はどのように行い、費用はどれくらい?

昭和47年建築、11階建て、58戸のマンションの耐震診断を実施しようと考えています。耐震診断の結果、建物の耐震性能に問題があることが分かった場合、補強補強工事はどのようにするものでしょうか? また、その費用の目安はどの程度でしょうか?

耐震補強工事はどのように行い、費用はどれくらい?

集合住宅の耐震補強工事について、最も配慮すべき事項は以下のように考えられます。

1.居ながら工事
住民が居住しながらの工事、いわゆる「居ながら工事」が必要とされる場合が多くなります。特に分譲マンションの場合、住民が移転しなければならないような補強計画は、合意形成が困難です。「居ながら工事」のため、補強箇所は室外でなければなりません。また、工事の安全性及び居住環境への影響に対して十分な配慮が必要です。

2.居住環境の悪化
耐震補強による居住環境への不利な影響を極力抑えなければなりません。例えば、ベランダ先に大きな柱や斜材が設けられることで採光や眺望に支障が生じたり、室内の耐震補強で居住面積が減らされたりすることは、工事後の生活環境に悪影響に及ぼすのみならず、住宅の資産価値にもマイナス要素となります。

3.効果の実感
耐震補強工事の効果について、住民たちが実感できることが重要だと考えられます。実際に地震が起きないと、建物の耐震性能が向上したのかどうかは実感できません。日常に意味が感じられない工事には、住民の意欲はなかなかわきにくいものです。このため、耐震補強工事は、建物のイメージアップ、老朽化対策、長年の積弊の改善等と連携していくことが、実施の合意形成を図るポイントになります。

これらの問題を解決するため、敷地の余裕がある場合は、最も理想的なのはアウトフレーム構法です。この工法はほぼ室外工事のみで、居住生活への影響は最小限に抑えることができます。また、補強後アウトフレームは外観になるので、建物のイメージを一新することができます。

敷地の余裕がない場合は、優先的にロビーや廊下や駐車場等の共有部分を利用して補強を行います。しかしこの場合、必ずしも必要な層を全て、一斉に工事できるとは限りません。条件によって、部分的、段階的に行うこともやむを得ません。例えば、危険度が高く、比較的合意形成が容易で工事しやすいピロティー部分を先に補強するのも現実的な選択肢かもしれません。もちろん建物全体の問題を解決したことにはなりませんが、中程度の地震の被害を免れ、あるいは軽減することには大きな意味があります。中地震時でも、ピロティーの崩壊が建物全体の倒壊に繋がることがあります。

補強工事費は条件によって大きく異なりますが、目安として全面アウトフレームの場合は300万円~500万円/戸の負担が必要だと考えられます。1、2階の共用部分及び店舗のみ補強する場合は、1戸当たり数十万でできる例もあります。

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