建替えに伴う遺言の作成

我々夫婦には子供がおらず、漠然と私の相続した後の妻のことを不安に思っております。知人からは、「遺言を書くとよい」とアドバイスを受けておりますが、弁護士等に知り合いもなく、何もしないまま今日まできてしまいました。ところで、居住しているマンションで建替えの検討が始まっておりますので、こうしたことをきっかけに、本格的に遺言書の作成等について検討したいと思います。手続き方法や留意点等について教えてください

子供のいらっしゃらないご夫婦で、ご両親も他界されている場合に、もしご主人に相続が発生しますと、今の民法では、法定相続人は奥様(法定相続分3/4)とご主人の兄弟姉妹(法定相続分1/4)となります。すなわち、このままの状態で相続が発生してしまいますと、奥様はご主人の兄弟姉妹の方と遺産分割協議を行ったうえで相続をすることが必要となってしまいます。

この場合、遺産分割協議がうまくまとまればよいのですが、すぐに解決できない場合は、奥様はご主人の銀行口座から預金を下ろすことさえ出来なくなってしまいます。また、建替え決議を行う場合でも、遺産分割前の住戸であれば、法定相続人の共有と推定されてしまうため、ご主人の兄弟姉妹と残された奥様で協議して「議決権行使者」の指定ができないと、建替え決議に賛成することもできません。この場合、最悪は奥様が居住するマンションを失ってしまう可能性も考えられます。

仮に、ご主人の意思が、自分の財産は全部奥様に譲りたいということであれば、まさにご検討のように、遺言書を作成されることをお勧めします。適正な遺言書で、「自分の財産は妻○○にすべて相続させる」等の記載があれば、ご主人の財産は全部奥様に相続させることが可能となります。兄弟姉妹には、遺留分もありませんので、安心です。

問題は、遺言は要式行為であるため、適正な内容で作成する必要があります。通常、我々が作成する遺言書は、大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に分かれます。遺言の内容の適正さや、保存の問題を考えると、公正証書で遺言を残されることをお勧めします。自筆証書遺言は、間違いがあることも多く、紛失のリスクもあるためです。

公正証書遺言は、公証役場で遺言書の作成を行います。この際、利害関係人以外の立会人が二人必要であるほか、公正証書作成費用もかかりますが、その後の負担を考えると結果的には高いものではないと思われます。なお、そうはいっても、公証役場などに出向いた経験がある方は少ないわけですから、具体的には司法書士や弁護士に相談をするか、あるいは信託銀行でも無料相談等は行っておりますから、こうした相談会等を利用される手もあるでしょう。

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