マンション建替えへの補助事例

建替えても容積が増えないマンションです。自己負担での建替えも視野に入れています。補助金をもらえないかと考えています。補助金を貰ったマンション建替えの事例を教えてください。

1.補助金のシステム
補助金の源泉は、国民が支払う税金です。したがって通常の民間事業で補助金をもらうのは簡単ではありません。その理由付け=大義名分が必要となります。一般的な例でお話します。

(1)都市再開発法に基づく市街地再開発事業
1)大規模な建替え
同潤会をご存知ですか?関東大震災で被災した人たちのために、世界から集まった義捐金で設立された団体です。同潤会アパートメントは、同潤会が建設した集合住宅ですが、老朽化が激しく、建替えは、概ね終わりました。

残っているのは「上野下アパート」だけとなってしまいました(三ノ輪アパートは建替え中)。同潤会アパートで大規模なものは、都市再開発法に基づく「市街地再開発事業」で行われています。押上二丁目(中之郷アパートメント)、住吉・毛利(猿江裏町)、横川五丁目(柳島アパートメント)、東日暮里五丁目(日暮里(鶯谷)アパートメント)、白河(清砂通りアパートメント)で首都圏不燃建築公社が手がけて建替えられました。表参道ヒルズ(青山アパートメント)や代官山アドレスタワー(代官山アパート)もそうですね。

これらは敷地規模もありマンション建替え事業ではありますが、「法的な括り」で言うと、市街地再開発事業となっています。補助金は貰っていますが、見かけはマンション建替えでもあまり参考になりません。

2)小規模な建替え
規模が小さい市街地再開発事業には個人施行があります。上記の「大規模な建替え」は組合施行となります。

市街地再開発事業には、「国庫補助採択基準」というものがあります。個人者施行では、施行地区面積が1000㎡以上となっています。これは、さらに二種類に分類できます。補助金が貰えるタイプともらえないタイプです。

個人者施行の事業で、高度利用地区、都市再生特別地区、特定地区計画等区域にあれば最低条件はクリアーしていますが補助金は付きません。

補助金を受けるには、都市計画事業にする必要があります※。ある事例では、「市街地再開発促進区域」(都市再開発法第7条)の網を掛けて都市計画事業にしています。もちろん、われわれが勝手に網を掛けるわけではなく、行政と折衝し、街づくりの目的に適って、初めて市街地再開発促進区域がかかるのです。

※ちょっと専門的になりすぎてわかりにくいですね。都市計画法の中に都市計画道路の建設とか、都市計画公園の建設がありますが、これらは、「都市計画事業」という大きな括りの中にあります。まちづくりの国の根幹的な事業なので民間が行う場合には補助金が交付されます。市街地再開発事業も「都市計画事業」なのですが、極めて複雑な事業なので都市計画法とは別に、都市再開発法で細かく規定されているのです。

重要なことは、マンション敷地単独では、市街地再開発事業にはなりません。周囲の土地を集約することにより環境改善、防災や防犯といったまちづくりに資する必要があります。

権利者がマンションだけで無く、戸建住宅等の関係者が入るために、難易度が一層、高くなります。

(2)大都市法(「大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法」)に基づく、都心共同住宅供給事業、
三大都市圏=東京、大阪、名古屋の一部(重点供給地域)で行われているものです。東京の場合は、環状7号線の内側で事業が行われます。共同化タイプ、市街地環境形成タイプ、マンション建替えタイプ、住宅複合利用タイプ、優良住宅供給タイプの五つです。

分譲価格や管理等に公的規制が課されます。

次で説明する優良建築物等整備事業と似ています。

(3)制度要綱に基づく優良建築物等整備事業
複数地権者を纏めて、敷地集約型の等価交換事業を行う場合に、補助金が出る場合があります。制度名は、優良建築物等整備事業と言います。通常、略して優建(ゆうけん)と呼んでいます。実績のある支援制度です。大きくは2つに、細かく分けると5つに分かれます。

優良開発型
*共同化タイプ *市街地環境形成タイプ *マンション建替えタイプ

市街地住宅供給型
*住宅複合利用タイプ *中心市街地共同住宅供給タイプ

複数地権者に対応するのが優良開発型の共同型になります。調査設計計画費(事業計画作成、地盤調査、建築設計、権利変換計画作成等)、土地整備費(建物除却、仮説店舗設置等)、共同施設整備費(建物を共同化することにより必要となる共同施設等(※建物の共用部分と考えればよいと思います))等に対し、東京23区の場合であれば、国が三分の一、東京都が六分の一、区が六分の一併せて三分の二となります。

また、この制度が、その自治体で「補助要綱」を作っていないと補助金が出ないことになります。市部では、補助要綱のない自治体があり、ここは非常に重要なので事前に調査・確認する必要があります。大都市法と環七を境界に、その外側が優建と住み分けが出来ています。

調べていくと、さまざまな補助制度があります。都心共同住宅供給事業を検索していて、国土省の「住宅市街地総合整備事業」に当たりましたが、まちづくり系の補助は角度を変えればまだまだありそうです。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/seido/39sougouseibi.html

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