「マンション」という文言は、区分所有法では使われていない。しかし、マンション建替て円滑化法(マンションの建替えの円滑化等に関する法律)および「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」は、「マンション」を定義している。以下では、これらの法律における「マンション」の定義およびそれと「区分所有建物」との異同について説明する。
マンション建替て円滑化法は、マンションを「二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの」と定義している(同法2条1項1号)。したがって、区分所有法の適用対象である「区分所有建物」の内で、①その区分所有権がすべて1人に属している区分所有建物(たとえば、分譲開始前の分譲マンション)や、②人の居住の用に供する専有部分がない区分所有建物(たとえば、商業ビルや事務所ビル)は、円滑化法上のマンションではない。逆に、棟割長屋や親子で1階と2階とを区分して所有する小規模な区分所有建物も同法上のマンションである(国土交通省住宅局住宅政策課・市街地建築課監修、マンション建替て円滑化法研究会編著、「マンション建替え円滑化法の解説」、大成出版社、2003、16頁)(「区分所有建物」の項目参照)。
マンション建替て円滑化法は、「マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別な措置等マンションの建替えの円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保をはか」ることを目的とする法律であるから(同法1条)、同法の適用対象は「マンション」に限られる。すなわち、区分所有法が適用される建物であっても、マンション建替て円滑化法の適用対象とはならない場合がある。
マンション建替て円滑化法の適用範囲を限定した理由は、次の点にあるといわれている。第一に、複数の区分所有者が存する建物に限ったのは、「建物が1人の所有者に属する賃貸マンションは、建替えに当たっての多数の区分所有者間の権利調整の困難さ等に着目してその円滑化のための措置を講じるという本法の適用の前提を欠く」からである。また、第二に人の居住の用に供する専有部分があるものに限ったのは、本法が「マンションの良好な居住環境の確保を図るという住宅政策上の観点から措置を講ずるものである」からである(上掲、「マンション建替て円滑化法の解説」、16頁)。
他方、マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、マンションを「二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(略)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設」と定義している(同法2条1項1号)。したがって、同法の「マンション」は、マンション建替て円滑化法上の「マンション」のほかに「その敷地及び附属施設」を含むことになる。