「区分所有建物」ということばは、区分所有法の条文では使われていない。しかし、被災区分所有建物再建等特別措置法2条は、これを「区分所有法第2条第3項に規定する専有部分が属する1棟の建物」と定義している。
「区分所有法第2条第3項に規定する専有部分」とは、構造上および利用上の独立性を有する建物の部分(区分所有法1条)で、区分所有権の目的となっているものである(区分所有法2条1項、3項)。したがって、「区分所有建物」とは、その部分について区分所有権が成立しているところの建物であり,一棟の建物と同義である。ただ、「一棟の建物」という場合には、その部分に区分所有権が成立している建物全体に焦点が当てられているのに対し、「区分所有建物」という場合には、ある建物の部分に区分所有権が成立していることに焦点が当てられていると考えられる。また、区分所有法では、「専有部分のある建物」ということばも使われている(65条)が、これも、区分所有建物と同義である(「専有部分」、「一棟の建物」の項目参照)。
「区分所有建物」ということばは、区分所有法の解説では、よく使われている(たとえば、我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂物権法」、岩波書店、1983、524頁以下、法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、3頁)。この場合には、被災区分所有建物再建等特別措置法2条におけると同じ意味である。
「区分所有建物」は、いわゆる分譲マンションに限られるものではない。商業ビルや事務所ビル、棟割長屋、タウンハウスも区分所有建物であることがある。また、親子が1階と2階とを区分して所有している建物も区分所有建物である(上掲「新しいマンション法」、3頁参照)。したがって、区分所有法をマンション法と呼ぶことは、誤解を招く(「マンション」の項目参照)。