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附属の建物(区分所有法における)

区分所有法は、規約の定めにより「附属の建物」を共用部分とすることができること(同法4条2項)、共用部分は、原則として、区分所有者全員の共有であり、ただ、例外として、一部共用部分はこれを共用すべき区分所有者の共有であること(同法11条1項)を定めている。しかし、「附属の建物」については定義していない。

1962年に同法が制定されたときの立法担当者である川島一郎判事は、「附属の建物」について、次のように説明している。

「共用部分となし得る附属の建物は、区分所有されている建物に対して従物的な関係にある建物であることを要するが、その他の要件は必要でなく、なお、建物の一部であっても差し支えない。」(川島一郎、「建物の区分所有等に関する法律の解説(中)」、法曹時報14巻7号59頁)。

「『従物的関係にある』とは、その附属の建物が、区分所有されている建物のうちの数個の専有部分に対して共同従属的な関係にあることをいう。また、附属の建物が一棟の建物の一部であってもよいというのは、たとえば、区分所有者が他の建物の一部を共同の物置や自動車の車庫等に使用するような場合も考えられるからである。なお、このような場合には、その建物の一部である附属の建物もまた、この法律の第一条所定の要件を備えていなければならないことはいうまでもない。」(川島一郎、上掲解説、法曹時報14巻7号60頁注3)。

一般に、「BがAの従物である」とは、「客観的・経済的関係において、B(従物)がA(主物)の効用を助ける立場にあって結合している」ことである(我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂民法総則」、岩波書店、1965、222頁)。川島判事の上記説明では、「区分所有されている建物のうちの数個の専有部分」(乙)と「建物または建物の一部」(丙)との間に共同従属的な関係があれば、丙はその数個の専有部分が属する「区分所有されている建物」(甲)、すなわち「区分所有建物」に対して従物的関係にある、というのであるから、これは、民法上の主物ー従物関係とは少し異なっている。だから、川島判事は、乙丙間の関係を共同従属的な関係と呼び、甲丙間の関係を従物的関係と呼んだものと思われる。

甲と丙との間の従物的関係の態様には、Ⅰ 丙が建物である場合と、Ⅱ 甲以外の建物の一部である場合とがある(以下の説明については、稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタール マンション区分所有法、第2版)」、日本評論社、2004、18頁参照)。

Ⅰには、次の二つの場合が含まれる。
①丙が区分所有法1条の一棟の建物である場合。たとえば、マンション甲に隣接して倉庫丙(区分所有法1条の一棟の建物)があり、丙の各部分--それらは、構造上、利用上独立性を有する(区分所有法1条)--が、甲の数個の専有部分と共同従属的関係にある場合。
②丙が区分所有法1条の一棟の建物以外の建物である場合。たとえば、マンション甲に隣接して1戸建ての集会室丙があり、これが甲の数個の専有部分と共同従属的関係にある場合。

Ⅱは、丙が、区分所有法1条の一棟の建物の構造上、利用上独立性を有する部分の一部の場合である。ただし、その一棟の建物は甲とは別の建物であることを要する。たとえば、③マンション甲に隣接して倉庫丙があり、丙の部分丙1~丙nの一部丙1~丙9が、甲の数個の専有部分乙と共同従属的関係にある場合。丙1~丙nは、構造上、利用上独立性を有する建物の部分でなければならない。④マンション甲に隣接してマンション丙があり、丙の住戸丙1が、甲の数個の専有部分と共同従属的関係にある場合。たとえば、丙1を甲の区分所有者が集会室に使う場合。

附属の建物は、①②では丙、③では丙1~丙9、④では丙1である。

なお、上掲稲本・鎌野「コンメンタール マンション区分所有法、第2版)」は、さらに、第3の態様として、Ⅲ 主たる建物と同一の、一棟の建物の区分した一部分である場合を挙げ、その例として、⑤マンション甲の地下に駐車室、機械室、倉庫--構造上、利用上独立性を有する--があり、それらは、甲の数個の専有部分と共同従属的関係にある場合を挙げている。

しかし、「主たる建物と同一の、一棟の建物の区分した一部分」は、区分所有法4条2項における「第一条に規定する建物の部分」にあたる。したがって、これを規約共用部分とするためには、これを附属の建物とする必要はない(五十嵐徹、「マンション登記法、第三版」、日本加除出版、2006、35頁参照)。上に引用した川島判事の説明も、区分所有者が「他の」建物の一部を共同で使用している場合に、区分所有建物甲とその一部丙との間に従物的関係を認めている。したがって、共用部分となしうる附属の建物は、ⅠおよびⅡの態様のものだけである、と考えられる。

なお、不動産登記法でも、「附属建物」ということばが用いられているが、その意味内容は、区分所有法の「附属の建物」とは、多いに異なる。
 
ある区分所有建物甲(マンションなど)の管理規約が、ある附属の建物丙を共用部分とする旨定めた場合には、丙は甲の規約共用部分となる(規約共用部分の設定の仕方については、「規約共用部分の設定」の項目参照)。ただし、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗できない(区分所有法4条2項、不動産登記法58条)。 

法定共用部分

共用部分には、①法律上当然に共用部分とされるものと、②規約が共用部分と定めた場合に共用部分とされるものとがある。(ⅰ)構造上および利用上の独立性を有する建物部分を除いた建物部分、および(ⅱ)専有部分に属しない建物の付属物は、①に属する。それに対し、(ⅲ)構造上および利用上の独立性を有する建物部分、および(ⅳ)附属の建物は、②に属する。②の共用部分については、その旨登記をしなければ、共用部分であることを第三者に対抗できない(区分所有法4条2項)。①を法定共用部分、②を規約共用部分と呼ぶ(法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、68頁)。

しかし、法定共用部分が(ⅰ)を指すことばとして、また、規約共用部分が(ⅲ)を指すことばとして使われることも少なくない(たとえば、稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタールマンション区分所有法 第2版」、日本評論社、2004、21頁、31頁)。これは、共用部分となる「専有部分に属しない建物の付属物」は、つねに、法定共用部分であり、共用部分となる「附属の建物」は、つねに、規約共用部分であるのに対し、共用部分となる「建物の部分」には、法定共用部分と規約共用部分があるので、両者を区別して表示する場合に、このことばを使うのが便利だからであろう。

1棟の建物の部分が、専有部分か法定共用部分かは争われることが多い。両者の区別について、くわしくは、上掲「コンメンタールマンション区分所有法 第2版」、31頁以下、升田純著、「要約 マンション判例155」、学陽書房、2009,79頁以下参照。マンション標準管理規約は、共用部分の範囲に含まれる建物部分を具体的に列挙している。

法定敷地

「建物が所在する土地」(区分所有法2条5項)を、通常、法定敷地とよぶ。これは、マンション等区分所有建物の物理的な底地を指す。ただし、土地は1筆単位で把握するから、1筆の土地の一部がある区分所有建物の底地に含まれていれば、その筆の土地全体が「建物が所在する土地」となる。また、1筆の土地上に、マンションA、Bが所在している場合には、その土地は、A、Bそれぞれの敷地となる(法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、119~120頁)。

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