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建物

「土地の定着物」(民法86条1項)の1種。「土地の定着物」には、①土地と離れて独立の不動産と見られるもの、②その定着する土地の一部とされるもの、③その中間に位するものがあり、「建物」は①の典型である(我妻栄、「新訂民法総則」、岩波書店、1965、212~213頁)。「建物」かどうかは、社会の取引通念により定める(我妻栄著 有泉亨補訂 「新訂物権法」、岩波書店、1983、14ページ)。

建物は独立の権利客体であるから、1つの建物には1つの所有権しか成立せず、また、一つの所有権の客体は、つねに、1つの建物であり(一物一権主義の適用)、したがって、建物の部分には所有権は成立しない、というのが民法の原則である。区分所有法1条は、その例外を定めた(「区分所有建物」の項目参照)。

建物の付属物

「建物の付属物」とは、建物の「部分」とは異なり、建物とは別個独立の物(民法85条)である。その別個独立の物が、「建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にある」(法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、70頁)場合に、その物は「建物の付属物」である。

「建物の付属物」は、建物の専有部分に属する付属物と専有部分以外の部分に属する付属物とにわかれる。後者が、「専有部分に属しない建物の付属物」(区分所有法2条4項)であり、これは法定共用部分である。上記「新しいマンション法」は、電気の配線、ガス・水道の配管、冷暖房設備、消火設備、エレベーターを例示している。

これに対し、「建物の付属物」であっても「専有部分に属する」場合には、これは共用部分にはならず、専有部分となる。

特定の「建物の付属物」が専有部分に属するか否かは、明確ではない場合がある。 東京高判平成9年5月15日判例時報1616号70頁は、階上の住戸の床下、階下の住戸の天井裏を通り、階上の住戸の排水を本管に流下させている枝管から漏水した場合に、その枝管が専有部分に属するか否かが争われ、裁判所は、枝管は「専有部分に属しない付属物」であり、共用部分に含まれると判断した。マンション標準管理規約では、共用部分に含まれる「建物の付属物」を列挙している。

建物の敷地(区分所有法の)

区分所有法上、「建物の敷地」は、専有部分と分離して処分することのできない土地の範囲(同時に、「区分所有者の団体」(管理組合がこれにあたることが多い)が管理する土地の範囲)を画する概念である(同法2条6項、22条1項、3条1項参照)。「建物の敷地」に属する土地は、①「建物の所在する土地」(通常、法定敷地と呼ばれている)、および②「区分所有法第5条第1項の規定により建物の敷地とされた土地」(通常、規約敷地と呼ばれている)からなる(同法2条5項)。

共用部分については、区分所有法11条1項が、一部共用部分を除き、区分所有者全員の共有に属する旨定めている(ただし、規約により、その例外を定めることは可能(同条2項))。しかし、「建物の敷地」については、区分所有法は、この11条1項に対応する規定を設けておらず、建物の区分所有の成立前に存在している敷地の権利関係を前提としている(ただし、同法22条~24条がこれに対する若干の制約を課している)。

建物の部分

建物の構成部分とみられるもの。たとえば、庇、雨戸、建具。建物の部分には、所有権は成立せず、全体としての建物の上に1個の所有権が成立する、というのが原則である(我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂物権法」、岩波書店、1983、14頁)。 しかし、区分所有法1条は、その例外を定めた。すなわち、1棟の建物の部分が、①「構造上区分された」ものであり(構造上の独立性)、かつ、②「独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」(利用上の独立性)である場合には、そのような各部分は、所有権の目的(客体)とすることができる。なお、「専有部分」、「共用部分」、「区分所有建物」の説明参照。

建物の付属施設

建物の「附属施設」という言葉は、区分所有法3条前段、同法7条1項前段、21条などで使われている。たとえば、区分所有法3条前段では、区分所有者の団体が管理する対象として、①これらの区分所有者が区分所有権を有する専有部分が属する区分所有建物(たとえば、マンションAの区分所有者は、Aの住戸の区分所有権を有するのであるから、マンションAがこれにあたる)、②その区分所有建物の敷地(法定敷地および規約敷地)のほかに、③その区分所有建物の「附属施設」を挙げている。

区分所有建物の「附属施設」の範囲については、解釈が分かれている。すなわち、法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、100頁は、「建物に附属する一切の施設、すなわち、建物の付属物、附属の建物又は工作物をいう。」と述べており、これに対し、稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタール マンション区分所有法 第2版」、日本評論社、2004、27頁は、「附属の建物と建物の付属物である。」と述べている。

「工作物」とは、「建物をはじめとして、橋梁・溝渠・池・銅像・記念碑・地窖・トンネルその他地上および地下の一切の設備」である(我妻栄著、有泉亨補訂、「新訂物権法」、岩波書店、1983、345頁)。これらの「工作物」は、建物を除き、土地の一部であるから、「敷地」に包含されると考えられる。そうすると、「コンメンタール マンション区分所有法 第2版」が述べているように、附属施設は建物の付属物と附属の建物に限られるのではないだろうか。

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