専有部分(1棟の建物の)
「構造上、利用上の独立性を有する、1棟の建物の部分」(区分所有法1条に規定する建物の部分)は、規約により共用部分と定めることができる(区分所有法4条2項前段)。「構造上、利用上の独立性を有する、1棟の建物の部分」のうちで、規約により共用部分と定められた部分を除いた部分が、区分所有権の目的(対象)となっている場合に、その部分を「専有部分」という(区分所有法2条3項)。
たとえば、マンションの車庫や倉庫は、「構造上、利用上の独立性を有する、1棟の建物の部分」である場合がある(最判昭和56年6月18日民集35巻4号798頁)。しかし、その場合でも、規約がこれを共用部分と定めれば、これは共用部分であり、専有部分ではない。
さらに、マンションの車庫や倉庫が構造上、利用上の独立性を有しており、また、とくに、これを共用部分とする旨定めた規約がない場合でも、そのマンションの所有者が建物全体を1個の通常の所有権の目的するつもりである場合には(たとえば、賃貸マンション)これを目的とする区分所有権は成立しないから、その部分は専有部分ではない。逆に、その建物の所有者がその建物を各住戸部分ごとに区分して所有する意思を表示した場合(たとえば、区分建物の表題登記の申請(不動産登記法48条)や分譲マンションとして分譲する旨の広告(法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、商事法務研究会、1983、7頁参照)には、その建物の「構造上、利用上の独立性を有する、1棟の建物の部分」は区分所有権の目的となり、専有部分となる。