Q.ベランダ及び専用庭は共に共用部であり、専用使用が認められるとあります。設置状況が限定的ではありますが、使用状況や管理内容が同様のベランダに対して、なぜ専有庭に対して使用料を支払う義務が生じるのでしょうか?

1 概観
 ご質問の趣旨は、かいつまんで言うと、ベランダの専用使用権は無償なのに、何故「専用庭」の専用使用権が有償なのか、というものです。これに対する直接の答えは、貴マンションの規約がそのように定めているからということです。しかし、これに対しては、さらに、規約では何でも規定できるのか、区分所有法は規約で定め得る事項について何らの制約をおいていないのか、区分所有法はどのような要件の下でどのような事項について規約で定め得る旨規定しているのか、という疑問が生じるものと思います。それ故、以下では、これらの疑問について、「専用庭」の使用に関する規約の定めを念頭におきながら、検討します。

(1)区分所有法の対象単位に関する原則と例外--一棟の建物と団地
イ 原則
区分所有法は、原則として、分譲マンションについて、1棟ごとに管理の仕組・その仕方を規定する、という考え方にたっています。すなわち、同法は、一棟の建物について、その部分が一定の要件を満たしている場合に、そのような部分(マンションの各住戸がこれに当たります)を所有権の目的とすることができる旨定め(1条)--1棟の建物のそのような部分を目的とする所有権が「区分所有権」です(2条1項)--、そのように区分所有権の目的となっている部分(これが「専有部分」です(2条3項))を有する建物(専有部分のある建物)の建物(特に、その共用部分)、敷地、付属施設を区分所有者が管理する仕組や管理の仕方を定めています。

ロ 例外
 これに対する例外として、区分所有法は、複数の建物(専有部分のある建物に限りません。)が団地を形成している場合について、一定の要件が満たされている場合には、これらの複数の建物の所有者(専有部分のある建物の場合は区分所有者)が、その団地内の建物、土地、付属施設を共同で管理する旨規定しています(65条)。

ハ 管理規約と団地管理規約
 管理組合と団地管理組合、管理規約と団地管理規約の区別は、イ、ロで述べた区分所有法の構造に対応しています。詳しい説明は後に行いますが、おおざっぱにいうと、1棟の分譲マンションについて、その建物、敷地、付属施設の管理を行うための区分所有者の団体が管理組合(区分所有法では「区分所有者の団体」です。)であり(3条)、その建物、敷地、付属施設の管理、使用に関する、管理組合の規約が管理規約(区分所有法上は、単に、「規約」)です(30条1項)。それに対し、一団地について、その団地内の専有部分のある建物、土地、付属施設を管理するための建物所有者(専有部分のある建物にあっては区分所有者)の団体が団地管理組合(区分所有法では「団地建物所有者の団体」です)であり(65条)、その団地内の建物、土地、付属施設の管理、使用に関する団地管理組合の規約が団地管理規約(区分所有法上は、単に、「規約」)です(66条による30条1項の読み替え準用)。

 「専用庭」が有償である旨定めている貴組合の規約は、管理規約である場合と団地管理規約である場合とが考えられますから、以下では、両者を分けて、これが規約で定め得る事項に含まれるかを検討することにします。

(2)規約の衡平性
 区分所有法は、管理規約若しくは団地管理規約(以下では、両者を含めるときには「規約」と呼びます)で定めることができる事項であっても、その内容が区分所有者間の衡平性を害する場合には、そのような定めをすることを認めていません。それ故、バルコニーは無償だが「専用庭」は有償だと定めた規約が、この衡平性の要求を満たしているか否かも、最後に検討します。

2 マンションの管理に関する原則規定が適用される場合
(1)区分所有法30条1項
区分所有法30条1項は、「建物又はその敷地若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律で定めるもののほか、規約で定めることができる。」と規定しています。したがって、質問者が「専用庭」と呼んでいられる場所が、①建物(質問者のマンション)の共用部分の一部、または、②その建物の敷地の一部である場合には、貴マンションの管理規約で、その場所の使用について定めることができます。

(2)「専用庭」は貴マンションの共用部分または敷地の一部か
ご質問が「専用庭」を「ベランダ」と対比していられるところから推測しますと、これは貴マンションの「共用部分」であるとも考えられます。

 しかし、質問者の住戸が1階の場合には、その場所は「土地の一部」であることも考えられます。土地の一部の場合には、その土地が、区分所有法上の「敷地」(区分所有法2条5項)である場合にのみ、その使用について管理規約で定めることができます。敷地には、①「建物が所在する土地」(2条5項)と②「建物が所在する土地と一体として管理又は使用する庭、通路その他の土地」で「規約により建物の敷地」とされている土地とが含まれます。前者が法定敷地、後者が規約敷地です。「建物が所在する土地」とはマンションの物理的な底地を指しますが、この場合の土地とは1筆単位で把握すると解されています(法務省民事局参事官室編、「新しいマンション法」、1983、商事法務研究会、119頁)。したがって、ご質問の「専用庭」は、仮にそれが土地の一部であったとしても、法定敷地に属している可能性が高いと思われます。

そうすると、貴マンションの「専用庭」はその共用部分若しくは敷地の一部であることなります。したがって、管理規約が有効に成立している限り、その使用に関する定め、すなわち、「専用庭」が有償であるとの定めは、4でのべる「区分所有者間の利害の衡平」に反するものでない限り、有効であると考えられます。

(3)マンション標準管理規約(単棟型)はどのように規定しているか
 ご参考までに、国土交通省が住宅宅地審議会の答申にもとづいて2004年に作成したマンション標準管理規約(単棟型)における専用使用権に関する規定およびそれに対する同省のコメントをご紹介しておきます。

マンション標準管理規約14条第1項 「区分所有者は、別表第4に掲げるバルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス、一階に面する庭及び屋上テラス(以下この条、第21条第1項及び別表第4において『バルコニー等』という。)について、同表に掲げるとおり、専用使用権を有することを承認する。」

第2項 「一階に面する庭について専用使用権を有している者は、別に定めるところにより、管理組合に専用使用料を納入しなければならない。」

ご質問の「専用庭」は、第1項の「屋上テラス」若しくは第2項の「一階に面する庭」に該当するものと思われます。そうすると、この標準管理規約によれば、「専用庭」が一階にある場合は有償であり、「屋上テラス」に当たる場合には無償となります。このように一階に面する庭の専用使用権を有償とした理由は、「全ての住戸に割り当てることのできない専用使用権については、専用使用権を有する者に何等かの対価を支払わせることが、他の区分所有者との公平性という観点から望ましいと考えたため」です(国土交通省住宅局住宅総合整備課監修、民間住宅行政研究会編著、「マンション標準管理規約の解説」、大成出版社、2005、84頁)。

 ただし、この14条に対するコメントは、「バルコニー及び屋上テラスがすべての住戸に付属しているのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる。」と述べています。このようなコメントをおいた理由も、「一階に面する庭」の専用使用権を有償とした理由と同じ理由です(前掲「マンション標準管理規約の解説」、84頁)。

 標準規約のこのような考え方を前提とすると、貴マンションの一部住戸についてのみ、共用部分の一部である「専用庭」が付属している場合には、それが「一階に面する庭」であれ「屋上テラス」であれ、有償である旨管理規約で定めることもできることになります。

3 団地に関する特則が適用される場合
(1)特則の規定適用の要件
区分所有法65条は、「一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は付属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下『団地建物所有者』という。)は、全員で、その団地内の土地、付属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と規定しています。

 したがって、団地に関する区分所有法の特則が適用されるためには、次の二つの要件が満たされることが必要です。

イ 一団地内に数棟の建物があること
 数棟の建物が「一団地内に」ある、と認定する基準は、区分所有法には規定されていません。区分所有法の1983年改正を担当された浜崎判事は、団地とは「客観的に一区画をなしていると認められる土地の区域」を指すと、一応、説明しています(浜崎恭生 「建物の区分所有等に関する法律の改正について (十)」、法曹時報38巻7号1580頁)。幾つかの建物(分譲マンションには限りません)のある区域が、常識で考えて一区画と認められる場合であればよい、という趣旨でしょう。

ロ その団地内の土地又は付属施設(これらに関する権利を含む)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合
たとえば、下の第1図、第2図を見て下さい。

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団地甲には、A、B、Cの3つの分譲マンションが建っており、土地全体がABCマンションの区分所有者の共有です。団地乙にも、D、E、Fの3つの分譲マンションが建っています。しかし、団地甲とは異なり、Dマンションの敷地はDの区分所有者の共有であり、E、Fの敷地も、それぞれのマンションの区分所有者の共有です。ただ、団地乙の場合には、団地内にgとい付属施設(たとえば、倉庫)があり、その建物は、DEFの3つのマンションの区分所有者の共有です。

(2)団地建物所有者・団地管理組合・団地管理規約
 65条によると、(1)イ、ロの要件が満たされている場合に、その団地の土地(団地甲の場合)若しくはその団地の付属施設(団地乙の場合)を共有している建物所有者(ABCマンション、若しくはDEFマンションの区分所有者)が「団地建物所有者」です。これらは全員で、「その団地内の土地、付属施設呼び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し・・・規約を定める」ことができます(65条)。この団体が団地管理組合であり、規約が団地管理規約です。

(3)団地管理規約で定めることができる事項
 団地管理規約で定めることができる事項について、区分所有法66条により読み替えられた同法30条1項は次のように規定しています。
 「土地等又は第68条第1項各号に掲げる物の管理又は使用に関する第65条に規定する団地建物所有者相互間の事項は、この法律で定めるもののほか、規約で定めることができる。」

したがって、団地管理規約で定めることができる事項は、①土地等、②第68条第1項各号に掲げる物、すなわち、同条同項1号および2号に掲げる物に関する管理、使用に限られます。

イ 土地等
区分所有法66条は、「土地等」を「第65条に規定する場合における当該土地若しくは付属施設」と定義しています。これは、数棟の建物のある一団地内にあって、それらの建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)が共有する土地若しくは付属施設です。すなわち、団地管理組合形成の核をなすところの土地若しくは付属施設--団地甲ではその団地内の土地、団地乙ではその付属施設g--がこれにあたります。このような土地や付属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は、当然に、団地管理組合規約で定めることができます

ロ 第68条第1項各号に掲げる物
 「第68条第1項各号に掲げる物」については、同法68条の定める一定の手続を経て、これに関する管理、使用に関する団地建物所有者相互間の事項について定める権限が団地管理組合に付与された場合にのみ、団地管理規約でその管理、使用について定めることができます。

(イ)第68条第1項第1号に掲げる物
 これは、「一団地内の土地又は付属施設(これらに関する権利を含む。)が、当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は付属施設」です(68条1項1号)(ただし、その土地または付属施設が、専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属する場合は除かれます)。たとえば、団地乙の場合に、Dマンションの敷地(E、Fマンションの敷地についても同じ)はこれに当りますが、付属施設gはこれに当りません。

 この場合には、「第68条第1項第1号に掲げる物」に該当する土地の全部または付属施設の全部について、それぞれ共有者の4分の3以上でその持分の4分の3以上を有するものの同意があった場合にかぎり、それらが団地管理規約の対象になります。たとえば、団地乙の場合には、マンションDの区分所有者の4分の3以上でその持分の4分の3以上がマンションDの敷地の管理または管理について団地管理規約で定めることに同意し、マンションE、Fの区分所有者もその敷地について同様の同意をした場合に、マンションDEFの敷地全部の管理、使用について団地管理組合が定めることができることになります。

(ロ)第68条第1項第2号に掲げる物
 これは「当該団地内の専有部分のある建物」、たとえば、団地甲のマンションABC、団地乙のマンションDEFです。

この場合には、「その全部につきそれぞれ第34条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議」が必要です。たとえば、団地甲のマンションABCそれぞれにおいて、区分所有者集会を開き、そこで区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、それぞれのマンションの管理および使用に関する区分所有者相互間の事項について決定する権限を団地管理組合に付与する旨決議した場合にはじめて、団地管理規約でこれらの事項について定めることができることになります。

 もっとも、マンション分譲時に団地管理規約を制定する場合には、これらの事項についても定めている団地管理規約について、区分所有者全員から書面による同意を得るという方法がとられているようです。

4 管理規約・団地管理規約の衡平性
(1)区分所有法30条3項
区分所有法30条3項によると、管理規約は、「専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは付属施設(建物の敷地又は付属施設に関する権利を含む。)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければな」りません。規約の内容が利害の衡平を著しく害する場合には、「当該規約」(利害の衡平を著しく害する内容の、その管理規約中の規定、という意味だと思われます(稲本洋之助、鎌野邦樹著、「コンメンタールマンション区分所有法 第2版」、日本評論社、2004、178頁参照))は無効と判断されます(吉田徹編著、「一問一答 改正マンション法 平成14年区分所有法改正の解説」、2003、35頁)。

 30条3項は、一部の字句を読み替えた上で、団地管理規約に準用されています(66条)。

(2)下級審判例
 どのような場合に区分所有者間の利害の衡平を著しく害する、若しくは著しく害するものではないと判断されるかを示すために、下級審判例を2つ紹介しておきます。30条3項は2002年の区分所有法改正において挿入された条文です。しかし、これが制定される前でも、判例は、規約の規定が利害の衡平を著しく害する場合には、民法90条を根拠に、それが無効であると判決していました。以下の判例は、何れも、その時期の判例です。ただし、これらは、専用使用権を有償と定める規約が区分所有者間の衡平を著しく害するか否かが争われた判例ではありません。

 ①本件ビル本館の屋上を住宅部門の庭園として同部門の区分所有者のみが専用使用し、また、本件ビルの別館の屋上は別館部門の区分所有者のみが有料駐車場として独占的に使用、管理している場合において、本館の住宅部門、店舗部門、別館部門の区分所有者全員で構成する管理組合の管理費負担の配分について、住宅部門、別館部門の区分所有者のみが上記の利益を享受している利益がまったく考慮されていないとしても、そのような管理費負担の配分を定めた総会決議の内容が、ただちに、著しく不公正、不公平であるということはできない(東京地判昭和58年5月30日判例時報1094号57頁)。

 ②管理費等の額について法人組合員と個人組合員とで差異を設けることは、その該当者の承諾を得ているなど特段の事情のない限り、その差異が合理的限度を超え、一部の区分所有者に対して特に不利益な結果をもたらす場合には、原則として民法90条の規定する公の秩序に反するというべきであり、かかる合理的限度を超えた差別的取扱いを定めた規約及び総会決議は無効である(東京地判平成2年7月24日判例時報1382号83頁)。

5 結論
貴マンションの規約が、バルコニーの専用使用権は無償、「専用庭」の専用使用権は有償と定めているという前提で、ご質問についてお答えします。

(1)規約で定めるべき事項か
イ 貴マンションの規約が管理規約の場合
 1で述べたように、単棟マンションの管理規約は、そのマンションの共用部分および敷地に関する管理または使用に関する区分所有者間の事項について定めることができます。「専用庭」は共用部分若しくは敷地の一部であると考えられますから、貴マンションの規約が管理規約の場合には、その使用に関する区分所有者間の事項について--したがって、何に対する専用使用権を無償とし、何を有償とするかについても--管理規約で定めることができます。

 管理規約の設定は、①貴マンション分譲時に区分所有者全員が書面による合意によりこれを行う(区分所有法45条2項、3項)のが普通です。ただし、②区分所有者およびその議決権の4分の3以上の多数による決議でこれを行うことも可能です(区分所有法31条1項本文)。また、③管理規約の変更は、②と同様、31条1項本文の多数による決議により行います。ただし、管理規約の設定、変更を31条1項本文の多数決により行う場合には、それが一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければなりません(31条1項但書)。しかし、専用使用権の有償、無償に関する規定が31条1項本文の多数決決議に基づいて成立することは実際には少ないと思いますので、ここでは、31条1項但書の本件への適用可能性については検討しないことにします。

 そうすると、専用使用権の有償、無償に関する管理規約の定めは、区分所有者全員の合意若しくは集会における多数決決議に基づいている筈ですから、31条1項但書の適用がある場合か、これが利害の衡平を著しく害する場合を除いては、区分所有者の全員若しくは多数の意思が「専用庭」の専用使用料支払義務を根拠付けることとなります。

ロ 規約が団地管理規約の場合
 貴マンションが区分所有法の団地に関する特則が適用されるマンションである場合には、事情が異なります。この場合には、団地管理規約が、貴団地内のすべてのマンションの団地建物所有者全員の書面による合意により設定された場合を除き、①貴マンションの共用部分の管理、使用に関する事項について団地管理規約で定めるためには、2(3)ロで述べた手続、すなわち、貴団地内のすべてのマンションにおいて、区分所有法68条柱書の多数による決議が行われていることが必要です。また、②貴マンションの敷地が貴マンションの区分所有者だけの共有であり、他のマンションの敷地もそれぞれのマンションの区分所有者の共有である場合(団地乙のような場合)において、その敷地の管理、使用に関する事項について団地管理規約で定めるためには、2(3)イで述べた手続、すなわち、それぞれの敷地の共有者による区分所有法68条柱書の多数による決議が行われていることが必要です(それに対し、貴団地内のマンションの土地の共有状況が団地甲のような場合には、②の手続は必要ではありません)。

 このような手続により、貴団地内の各マンションの共用部分や敷地の管理、使用に関する事項について定める権限が団地管理組合に付与され、団地管理組合が、その団地建物所有者全員の書面による合意(66条による45条2項、3項の読み替え)若しくは66条により読み替えられた31条1項本文の多数決により決議により、団地管理規約を設定、変更した場合には、66条により読み替えられた31条1項但書の適用がある場合か、これが利害の衡平を著しく害する場合を除いては、貴団地の団地建物所有者の全員の意思、または、貴マンションの区分所有者(若しくは敷地の共有者)の多数の意思プラス貴団地の団地建物所有者の多数の意思が「専用庭」の専用使用料支払義務を根拠付けることになります。

(2)利害の衡平
3で述べたように、専用使用権の有償、無償に関する規約が、区分所有法30条3項(若しくは、66条により読み替え準用された33条3項。以下同じ)の定める規約の衡平性を著しく害する場合には、その規約は無効です。しかし、ご質問を読む限りでは、貴マンションのこの点に関する規約が衡平性を著しく害するものとはいえないように思えます。

 ご質問の事案は、要約すると、ベランダと専用庭(マンションの共用部分または敷地若しくは団地の土地の一部であると考えておきます)について、①ともに専用使用権が設定されている、②使用状況、管理内容では相違はない、③設置状況については、前者が大多数の住戸に設定、後者は一部の住戸に設置という違いがある、④修繕費の負担者については、前者が管理組合、後者が専有使用権者という違いがあるという事案です。

区分所有法30条3項は、区分所有者間(団地管理規約の場合は団地建物所有者間)の利害の衡平を図るに当たり、「形状、面積」を考慮すべき旨規定しています。ご質問の事案では、ベランダは大多数の住戸に設置されているのに対し、「専用庭」は一部の住戸にしか設置されていないとのことです。そうすると、「専用庭」に専用使用権を有する区分所有者(若しくは団地建物所有者。以下同じ。)は、ベランダにしか専用使用権を有しない区分所有者に比べて、ベランダと「専用庭」とをあわせた面積が広いのではないのでしょうか。1で述べましたように、標準管理規約では、敷地の一部たる専用庭に対する専用使用権は有償でしたし、そのコメントは共用部分の一部たる屋上テラスに対する専用使用権も、それが限定的である場合には、有償とする旨規約で定めることができる旨述べていました。これは、「全ての住戸に割り当てることのできない専用使用権については、専用使用権を有する者に何等かの対価を支払わせることが、他の区分所有者との公平性という観点から望ましい」という理由によるものでした。貴マンションの場合も、このような考慮があったのではないでしょうか。そうであれば、むしろ、「専用庭」の専用使用権を有償と定める方が衡平に合するようにも思えます。

 また、区分所有権の分譲価格は、区分所有法30条3項の「その他の事情」に含まれると解されています(稲本・鎌野、前掲コンメンタール、182頁)。したがって、貴マンションの住戸の分譲価格を設定するときに「専用庭」の専用使用権が有償であることが考慮されていた場合には、専用使用権の有償、無償に関する規約の衡平性を判断する場合に、これも考慮されることになります。

 最後に、修繕費負担に関するバルコニーと「専用庭」との取扱いの違いは、専用使用権の有償、無償に関する規約の衡平性を判断する際に考慮すべき事情に当たるか、という問題について考えます。これについて触れた見解は見あたりませんでした。しかし、専用使用料支払義務の実質的な根拠は、一部の区分所有者が専用使用権を有する共用部分や敷地の面積が、他の多くの区分所有者のそれよりも広い場合には、それに見合う対価を支払うべきである、ということですから、共用部分の修繕費の負担の問題は、専用使用権の有償・無償の問題とは切り離して考えた方がよいのではないでしょうか。

 ただし、貴マンションの規約の趣旨が、共用部分たる「専用庭」の修繕は、すべて、専用使用権者の負担により行うというものであれば、これについては再検討の余地があるかもしれません。その理由はこうです。ここで修繕費の負担が問題となっている「専用庭」は、通常、屋上テラスとかルーフバルコニーと呼ばれている共用部分を指しているものと考えられます。その場所は、他の区分所有者の住戸の屋根の一部にあたります。したがって、そこの管理が疎かになると、直下の住戸やその周辺の住戸に雨漏りなどの被害をもたらすおそれがあります。したがって、通常の使用に伴う管理は別として、原則としては、管理組合が、その負担と責任で管理し、他の共用部分と同様に定期的な修繕を行うのでなければ、他の区分所有者の利益を害するおそれがあります。

 標準管理規約(単棟型)21条1項は、「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」と規定しています(標準管理規約(団地型)21条1項も、実質的には、これと同じ内容を規定です)。同条でいう「バルコニー等」とは、バルコニー、玄関扉、窓枠、一階に面する庭及び屋上テラスを指します(14条1項)。また、これらのうちで、一階に面する庭の専用使用権は有償です(14条2項)。その外に、1で述べたように、一部の区分所有者のみが屋上テラスの専用使用権を有する場合には、これを有償とすることも許容されています(14条に対するコメント)。したがって、標準管理規約では、通常の使用に伴う「バルコニー等」の管理は、それに対する専用使用権の有償、無償を問わず、専用使用権者がその責任と負担においてこれを行います。しかし、共用部分の管理は、管理組合がその責任と負担において行うのが原則ですから(21条1項)、バルコニーや屋上テラスなどが老朽化してきたため大規模修繕を行ったり総会の決議に基づき全戸一斉にバルコニーや玄関扉のペンキの塗替えを行うといった、『通常の使用に伴う』とはいえない管理については、管理組合がその責任と負担において行うことになります(前掲「マンション標準管理規約の解説」、大成出版社、2005、107頁)。

貴マンションの規約が修繕費の負担について、このような標準管理規約の規定と異なる規定をおいたのは貴マンション固有の事情によるのかもしれませんから確言はできませんが、一般論としては、標準管理規約の考え方が合理的であり、建物の保全にも資するように思えます。もっとも、そのことから直ちに、修繕費の負担に関する貴マンションの規約が「利害の衡平」を著しく害するものである、というわけではありません。

 

国土交通省の公募事業にNPO法人マンション再生なびが採択されました!

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マンションの維持管理や再生について、①地域レベルの相談体制の整備②専門家等の人材育成の推進により、今後必要となるノウハウ蓄積を図る『マンション等安心居住推進事業』にNPO法人マンション再生なびが採択されました!

本NPO法人では、発足時より既に①②に関する取り組みを推進してきましたが、今回の採択により、一定期間中は国の補助が得られるため、これまで以上に充実したサポートを管理組合・区分所有者の皆様方に提供できる体制が整いました。

  • ①地域レベルの相談体制の整備 →管理組合・区分所有者のサポート
  • ②専門家等の人材育成の推進 →賛助企業を対象とした専門家教育

首都圏に限らず、全国のマンションを対象として、ご相談があれば、必要な助言や再生方策の提案、大規模改修や建替えの勉強会の開催等、状況に応じたサポートを提供していきますので、この機会をぜひご活用下さい。

なお、無償にて、FAXやメール等で質問も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。マンション再生の専門家が、ご相談の状況に応じた適切なアドバイスを回答します。

■平成21年度マンション等安心居住推進事業(相談体制の整備等に係る事業)の採択事業の決定について/国土交通省
http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/house06_hh_000033.html

 

住宅金融支援機構&マンション再生なびが主催のシンポジウムが開催されました!

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6月13日(土)に水道橋すまい・るホールにて、住宅金融支援機構&マンション再生なびが主催のシンポジウムが開催されました。

当日は、たくさんの方にお集まり頂き、大変ありがとうございました。

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住宅金融支援機構の合田理事のご挨拶

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マンション再生なびの太田理事長のご挨拶

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トップバッターは、同潤会江戸川アパートメントにて高齢のお母様と建替えを経験した女優の坪内ミキ子さんに、居住者から見たマンション建替えについてご講演頂きました。

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次に、国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室の山崎房長室長に最近のマンション政策についてご講演頂きました。

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後半は、弁護士の村辻義信氏をコーディネーターとして、コンサルタントの田村誠邦氏、元同潤会江戸川アパートメント管理組合理事長の太田知行氏、デベロッパーを代表して、三菱地所の吉野智幸氏、旭化成ホームズの向田慎二氏、住宅金融支援機構の市川真一氏によるパネルディスカッションが行われました。

 

6月13日(土)に水道橋すまい・るホールにて、区分所有者・管理組合向けシンポジウムが開催されます!

主催:(独)住宅金融支援機構&NPO法人マンション再生なび

マンション建替えシンポジウム:
『今こそ、みんなで考えよう!マンション建替え ~管理組合、デベロッパー、そして金融機関は、今、再生にどう取り組むべきか~』

第Ⅰ部 講演

  • 『マンション建替えへの思い』 女優 坪内 ミキ子 様 (同潤会江戸川アパートメントの建替えを母親とご経験)
  • 『マンション政策の現状について』 山崎 房長 様(国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室 室長)

第Ⅱ部 パネルディスカッション

  • 村辻 義信 氏(ウェルブライト法律事務所所長・政策研究大学院大学客員教授):コーディネーター
  • 田村 誠邦 氏((株)アークブレイン代表取締役・不動産鑑定士・一級建築士)
  • 池田 只保 氏(元同潤会江戸川アパート管理組合副理事長)
  • 向田 慎二 氏(旭化成ホームズ(株)開発営業本部マンション建替え事業推進部長)
  • 吉野 智幸 氏(三菱地所(株)パートナー事業部建替事業推進室副室長)
  • 市川 真一 氏((独)住宅金融支援機構まちづくり推進部マンション再生支援グループ長)

シンポジウムの詳細やお申し込みは、こちらから。
参加申込書(PDFファイル)

■住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫) イベント・セミナーのご案内
http://www.jhf.go.jp/jumap/event/information/seminar_tokyo_090613.html

 

今こそ、みんなで考えよう!マンション建替え ~管理組合、デベロッパー、そして金融機関は、今、再生にどう取り組むべきか~

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賛助会員向け第4回基本事例研修会が開催されました

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4月21日(火)に八重洲にて、賛助会員向け平成20年度第4回基本事例研修会が開催されました。

 

耐震偽装マンション「グランドステージ千歳烏山」のマンション建替え経緯について

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賛助会員向け第3回基本事例研修会が開催されました

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3月12日(木)に水道橋にて、賛助会員向け平成20年度第3回基本事例研修会が開催されました。

 

住宅金融支援機構の融資制度

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賛助会員向け第2回基本事例研修会が開催されました

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2月3日(火)に八重洲にて、賛助会員向け平成20年度第2回基本事例研修会が開催されました。

 

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